今回第4回目は、大森由久 氏(日本麻振興会 代表、栃木県麻農家)
大森由久氏は栃木県の麻農家に生まれ、その一生を麻の生産に捧げている。現在では数少なくなっている麻農家の減少を食い止めるべく日本麻振興会を立ち上げ後世へ繋げる活動を行っています。
大森 由久(おおもり よしひさ)さんは、日本国内の麻生産の90%以上を占める栃木県鹿沼市県の麻農家の7代目である。
さらに、日本麻振興会の理事長でもあります。理事長である大森さんを含めた5人の設立発起人により2012年4月に設立されました。この5人の設立発起人はいずれも麻を栽培する農家です。
日本麻振興会は、日本各地に伝わる麻に関する伝統文化・生活の中で伝えられてきた技術を後世に伝え、また、麻に係わる産業の振興に寄与することを目的としていいます。
戦前には、米と並んで作付け量を指定され、盛んに栽培され、5000ヘクタールあった大麻草の作付面積が、戦後の高度成長の陰で農業が衰退したことに加え、国産麻はより安価な輸入繊維(麻代用品)、さらには化学繊維の普及による需要減少と大麻取締法による規制により、今や5ヘクタール程度に激減し、県内で麻農家が一番多かった鹿沼市でも10数軒を残すのみとなった。
大森さんは、「このままでは生産者だけでなく、加工業者や利用者の伝統、文化も失われる」と、危機感を抱き、日本全国を奔走し、「古来、日本の生活文化に密着した麻の魅力、伝統、文化を見直すとともに、産業振興して、後世に伝えたい」と、「日本麻振興会」を発足し、代表に就任されました。
日本麻振興会ー奉納有志の会立上げの想いとは
神社の注連縄(しめなわ)が古来よりどんなものを用いて作られてきたかをご存知でしょうか?
それは、稲藁であり、麻でした。
そもそもしめ縄とは、
注連縄が神の領域と現世を隔てる結界となり、その中に不浄なものが入らないようにする役目も果たします。
その由来は、天照大神が天の岩戸から出た際に、再び天の岩戸に入らないようしめ縄で戸を塞いだという日本神話にあるとされ、「しめ」には神様の占める場所という意味があるといわれています。
古来より神道と麻は切っても切れない関係にありました。
大麻が神道で神の象徴であるという一つに例に、伊勢神宮のお札があります。このお札は「神宮大麻」という名で現在は紙のお札ですが、その昔は大麻草が使用されていたそうです。
また、麻の葉には魔除けの効果があるとも信じられていました。神社では、けがれを祓い、神域をつくりだすための神祭具として麻製の幣などが用いられています。拝殿に吊された鈴はその音色で神霊を招くとされています。
鈴の緒を両手でしっかりと握り振ることは、参拝者を祓い清めることから「鈴祓え」と呼ばれています。参拝者が神社で唯一手に触れることができる神具が鈴の緒です。麻で作られた鈴の緒は、神と人をつなぐ掛け橋となります。現在の神社神道では神社の社は、神と現世を隔てる結界の役割を持つと言われています。
現在、日本のおよそ7割もの神社でビニール製の注連縄がかけられていると言われているそうです。皆様、お気づきでしたか?
一見すると麻で作られているようにも見えますが、実際にはビニール製というものが数多くございます。ビニール製の注連縄でご神域を守り、結界をはることができるでしょうか。 と大森氏。
大森さんの日本麻振興会では、先人たちが脈々と受け継いできてくださった日本の伝統に深く感謝し、ビニール製の注連縄をかかげている、もしくはさらし木綿の鈴の緒を吊るされている神社に「おおあさ」の注連縄および鈴の緒を奉納する社会活動を推進している。
日本麻振興会で栽培し研ぎ澄まされた最上級の神麻を用い、明治19年の創業以来、一貫して神社仏閣用麻製品の製造をしてきた京都の株式会社山川の協力の元、神麻の注連縄と鈴の緒を制作している。
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